事例

全社を巻き込む変革のうねり―「トップガンプロジェクト」の舞台裏

サービス
金融
  • クライアント : 三菱HCキャピタル株式会社 様

三菱HCキャピタル株式会社: https://www.mitsubishi-hc-capital.com/

「10年後のありたい姿」として「未踏の未来へ、ともに挑むイノベーター」を掲げ、三菱HCキャピタル株式会社(以下「三菱HCキャピタル」)は、リース業界最大手の1社としてユニークな変革に取り組んでいます。その象徴ともいえるのが、2024年に始動した「トップガンプロジェクト」。全社・国内全グループ会社を対象に、新事業に関するアイデアや稼ぐしくみを募集し、選抜メンバーにワークショップを実施。ワークショップ参加者の中から自ら立候補した「代表メンバー」が中心となり、実際にアイデアをブラッシュアップし具体化を目ざすというものです。今回、インダストリー・ワン(以下「IO」)は、プロジェクト全体の支援、ワークショップの設計・講師を担当。取り組みの詳細について、三菱HCキャピタル デジタル戦略企画部 竹島次長・浅井課長代理・原田課長代理を中心にお話をお伺いしました。

左よりIO吉本、浅井様、竹島様、原田様、IO北里

―――「トップガン」という名称が印象的ですが、プロジェクトの立上げ背景についてお聞かせください。

このプロジェクトは、当社の「10年後のありたい姿」を実現するための重要な取り組みです。リース事業を基盤に、新たな事業領域に挑戦し、お客様にこれまで以上の価値を提供することをめざしています。
「未踏の未来へ、ともに挑むイノベーター」という「10年後のありたい姿」に向け、国内グループ会社を含む全社を巻き込み、イノベーションを推進するために、社長直轄でプロジェクトが始まりました。結果として、募集に対し、2149件ものエントリーがあり、組織全体での盛り上がりを実感しています。

―――驚異的なエントリー数ですね!社員様の理解を深めるために、工夫されたことはありますか。

まず、社長である久井が全社員にメールでメッセージを発信し、「みんなで取り組む」という意識を浸透させることから始めました。その後、久井と副社長の安栄の対談動画を制作・公開するなど、トップの想いをさまざまな形で社員に伝える施策を行いました。経営層の熱量を直接伝えることができるため、非常に効果的だったと思います。

エントリーシートには、新事業の提案だけでなく、当社の強みや課題についても自由に意見を出せる設問を設け、多様な視点からのアイデアを集める工夫を凝らしました。説明会も階層別に実施し、社員がプロジェクトの意義を理解しやすい形を追求しました。また、役員や部長が積極的に部署全体を巻き込み、社員がプロジェクトに前向きに取り組む環境が整いました。

―――様々な工夫を重ねた結果なのですね。続きまして、ワークショップについて教えてください。

社員一人ひとりの「心に火をつける」、全社的な変革を促進することを目的に、ワークショップを設計しました。経営層との議論を通じて、「社員が主体的に参加し、新しい視点や価値を生み出す機会にする」という方向性とし、実施内容もその主旨に沿って検討しました。

ワークショップは選抜された127名に対し、計2回、それぞれ異なるコンセプトで実施しました。1回目は「既存概念の殻を破る」をテーマに、自由な発想で新しいアイデアを創出することに重点を置きました。初めてワークショップを体験する社員も多かったため、講義を交えながら参加者の知識レベルを整え、グループワークを通じてアイデアを広げる場を提供しました。

2回目は、1回目の自由な発想を踏まえ、「会社として実現可能なアイデアを具体化する」ことにフォーカスしました。当社が掲げるマテリアリティや既存事業を基盤に、より実用的で事業化をめざせる内容を検討するために、講義を通じてアップデートされた知識を活用しながら、現実的なアイデアへと進化させる工夫を行いました。

また、特徴的な取り組みとして、最後に「劇形式」のアウトプットを取り入れました。通常のプレゼンにとどまらず、参加者が役割を演じながらアイデアを発表することで、これまでにない新しい体験を提供しました。当初は、真面目な社風の社員が乗ってくれるのか不安もありましたが、IOのファシリテータによる聴衆を魅了する工夫もあり、非常に場が盛り上がり、素晴らしいアウトプットが生まれました。体験型のアプローチは、社員間の結束を深める効果もあったと感じています。

参加者からは「楽しかった」「新しい発見があった」という声が多く寄せられ、仕事の一環でありながらも心から楽しみながら取り組める機会になったと感じています。ワークショップを通じて生まれた新たな繋がりや発想は、今回限りではなく、様々なビジネスシーンでも活かせると思っています。

―――IOの支援の中で印象的なエピソードを教えてください。



プロジェクトを形のない状況から具体化してくださったことですかね。当初、経営層から「新事業開発を促進する“うねり”を起こしたい」という意向はありましたが、具体的な進め方は模索中でした。その中で、IOに相談し、他社事例や専門的な知見を交えながら、何度も壁打ちを重ねることで、プロジェクトの骨組みを構築していきました。

特に、IOは単にアイデアを出すだけでなく、私たちの要望を聞き取り、目的に沿った提案を繰り返してくださいました。たとえば、「全社的な巻き込みをどう実現するか」「参加者の意見をどのように活かすか」など、細部に至るまできめ細やかなサポートを提供してくれました。また、プロジェクトマネジメントの面でも、工数や期間が不明確な中で、全体の構成や進行計画を丁寧に設計し、私たちが抱える不安を解消してくれたことは非常に心強いものでした。まさにゼロからイチを生み出す会社と感じました。

―――プロジェクトの今後についてお聞かせください。

プロジェクトの状況としては、2025年3月の活動報告会を目標に、17件のアイデアをより具体的な形にブラッシュアップしています。現在は、自社内で納得感を得るだけでなく、顧客からも支持を得られる事業アイデアへと育てることに全力を注いでいる段階です。IOは、代表メンバーと密に連携し、週単位で会議に参加しながら、顧客ニーズの確認やヒアリング先の紹介、アイデアの提供など多面的なサポートをしてくださり、大変助かっています。

今後の展望は、この活動を通じて変革の波を全社に広げることです。既に参加者がプロジェクトで得た知見を自部署のメンバーに共有する事で新たな挑戦を促進する文化が醸成されつつあります。また、今回参加できなかったメンバーの中から、「参加したかった」という声も挙がっています。“自分たちもやってみたい”という意思を、どのような形で拾うべきか検討中ですが、今回の17件のアイデアから具体的な成果を生み出すと同時に、現場から継続的に新しいアイデアが生まれる企業文化を構築したいと考えています。



―――新たな企業文化をつくるという素敵な取り組みですね。引き続きIOが支援いたします。ありがとうございました!


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