モビリティサービス企業への進化
- クライアント : 三菱オートリース株式会社 様
三菱オートリース株式会社: https://www.mitsubishi-autolease.com/
自動車に係るリース、メンテナンス等の総合ソリューションサービス業として業界トップクラスの実績を誇る三菱オートリース(以下「MAL」)。今後は「“人とモノの移動”に新たな価値を乗せていく」という経営理念のもと、モビリティサービス企業へと進化を遂げようしています。その取り組みの一環として、社内のみならず業界全体のDX推進の実現をめざしています。今回インダストリー・ワン(以下「IO」)は、MALの中長期的なDX方針の策定と実装を支援しました。取り組みの詳細について、DX推進部門 理事部門長補佐/森田様・デジタル戦略部 課長/越野様・デジタル戦略部 スペシャリスト/丸山様を中心にお話を伺いました。
―――今回の取り組みの背景をお聞かせください。
DX方針の策定に踏み切ったのは、急速に進化するモビリティサービスや市場環境の変化に適応するために、事業のスピードを上げる必要性があると感じた為です。これまでは短期的な施策に追われていましたが、そうではなく3年後、5年後を見据えた中長期的な計画が不可欠であると強く認識しました。特に、コロナ禍が落ち着いたタイミングで、時代の変化に合わせたビジョンが必要と感じ、DX方針を策定する決断をしました。
―――DX方針策定において最も重視した要素を教えてください。
DX方針策定において最も重視したのは、現場の声を真摯に聞くことでした。現場で実際に業務を行う社員たちの意見を反映させることで、実効性のあるDX方針を策定できると考えました。アンケートやヒアリングを行ったところ、紙を中心とした非効率な業務処理工程に対する不満や要望など300件以上の意見が集まり、そのすべてを一つ一つ丁寧に仕分けし、課題と対応策を半年間かけて検討しました。現場の声を無視することなく、社員たちが働きやすい環境を整え、組織が永続的に発展する素地を作る事がDX方針策定の要諦と考えます。
また、私たちがDXを推進することで最終的にめざしているのは、業務の完全自動化です。業界的に紙で情報を管理し、膨大な業務工程を人力でカバーしてきましたが、人手不足が加速する中で従来のやり方ではお客様へ迅速なサービスの提供は難しくなっていきます。マーケットの変化に柔軟に対応できる体制を整え、時代に適応したスピード感を持った業務プロセスを築いていきたいと考えています。
その一環として、2020年に開設したWeb車両情報管理サービス「MAL portal (マルポータル)」をさらに進化させ、情報提供にとどまらず、ポータルサイト上でのお客様との双方向コュニケーションを実現したいと考えています。
そして、データ活用も重要な要素です。自動車業界は売り切りからカーリースやサブスクリプションへの需要シフトが進んでおり、これからはお客様との直接的な接点を通じて得られるデータを最大限に活用することで、より良いサービスを提供することが当社の成長の鍵となります。DXを通じてメーカーに依存しない独自の組織体制を構築し、将来的には業界全体に影響を与える存在へと成長していくことをめざしています。
―――IOの支援の中で印象的なエピソードを教えてください。
特に印象的だったのは、現場からの300件以上の意見を2~3ヶ月かけて一緒に仕分けし、課題を整理していただいたことです。IOにはその仕分け作業における軸や観点の設定を支援いただき、大変助かりました。アプリ開発支援では、PMOとして外部ベンダーとの間に入り、両者の意見を調整しながらプロジェクトを円滑に推進していただいた点も非常にありがたかったです。
また、IOの開放的なオフィスで開催したキックオフミーティングも非常に新しい取り組みだったと感じています。今年の4月にDX方針策定の第一ステップとして組織体制を大きく変更しました。独立していた3つの部署(デジタル戦略部・業務改革推進部・ITサービス部)が「DX推進部門」として統合された発足日に、これまでとは異なるアプローチで実施したことで、社内の意識に大きな変化が生まれました。その一つとして「マシュマロチャレンジ」が予想以上に盛り上がり、普段は見られないような一体感が生まれたことは良かったです。企画段階より我々メンバーの個性を理解したうえで様々なアイディアを出してくれたお陰で、ミーティング後は部門内の風通しが良くなり、デジタル化やIT化を進めるべきという共通の認識が社内で広がりました。これにより、各部署が協力してプロジェクトを進める意欲が高まり、DX施策の推進力が一層強化されました。IOが組織の中に入り込み、我々と近い距離で支援をしていただくことで、部門横断型のプロジェクトが増えました。社内全体の団結力が向上し、プロジェクトの進行がスムーズになったという成果を実感しています。
―――今後の展開について教えてください。
さらにDXを加速させるためには、既存の枠組みにとらわれない視点を大切にしていきたいです。将来を見据えた全く新しい取り組みを実行に移していきたいですね。IOの良い点はシステム開発におけるUI/UX、デザイン力、またPMOの能力と、システムインテグレーター的な要素全てを網羅していることです。論理的思考に基づいた積み上げだけでなく、デザイン思考やアート的な視点を取り入れ、利用者の立場に立った革新的なアプローチを提案いただきたいと考えています。私たちがめざす未来に向けて、IOが共に新しい価値を創造していくパートナーとなることを期待しています。
―――貴社の更なる進化が楽しみです。今後もIOが支援いたします。ありがとうございました!