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会社設立への挑戦の軌跡/ALTNA×インダストリー・ワン対談

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エネルギー・金属
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  • クライアント : ALTNA株式会社 様

ALTNA株式会社:https://altna.co.jp/

ALTNA株式会社(以下「ALTNA」)は、2024年7月1日に本田技研工業株式会社(以下「Honda」)と三菱商事株式会社(以下「MC」)の共同出資により設立された新会社です。「地球環境と共存するAlternativeな選択肢を提供し続ける」という理念のもと、モビリティとエネルギーを組み合わせた循環型社会の実現を目指し、新たなビジネスモデルに取り組んでいます。インダストリー・ワン(以下「IO」)は、この新会社設立プロジェクトにおいて、PMO業務、ITインフラの整備、業務オペレーションの設計、ならびにコーポレートブランディングの支援を行いました。本プロジェクトを振り返り、ALTNA株式会社の代表取締役副社長/中﨑様、BESS事業部 事業企画部長 /小丸様、バッテリーリース部 事業企画担当部長/鳥取様、経営企画部 経営企画担当部長 /飛松様と、IOコンサルティング事業部の稲葉および津島による対談を実施しました。

左より飛松様、鳥取様、中﨑様、小丸様、IO稲葉・津島

―――ALTNA設立の背景を教えてください。

中﨑:ALTNAはHondaとMCの合弁会社で、脱炭素社会と循環型社会の実現を目指しています。Hondaとして新しい領域に挑戦したいという思いから、MCとの協力により新たなビジネスモデルを構築しました。約2年にも及ぶワーキンググループを経て、会社設立に踏み切り、現在に至ります。

代表取締役副社長/中﨑様

―――ALTNAの主な事業についてお聞かせください。

中﨑:当社では、EV車両向けのバッテリーリース、使用済みバッテリーを活用した蓄電、そしてEV充電における電力コスト最適化サービスを柱とした3つの事業を展開することとしています。このビジネスモデルは少々複雑ですが、EVに対するハードルが下がり、個々人がEVに乗ることは“何か”に貢献していると感じていただければ嬉しいです。それは環境であったり、循環型経済であったり、視点は様々だと思いますが、地球規模の課題をひとりひとりのお客様に意識いただくことは、社会に対してもプラスに働くと考えています。

―――続きまして、IOをプロジェクトパートナーとして選んでいただいた理由を教えてください。

飛松:2023年の10月頃、HondaとMCが合意に達した段階で、会社設立に向けた具体的なロードマップの策定をする必要がありました。異業種の協業は多くの課題が伴うため、全体を俯瞰しつつ、各タスクに対し優先順位と進行をサポートしてくれるパートナーが必要でした。そんな中、これらの機能を持つIOの存在を知り、支援をお願いしました。実際、IOは当初の期待通りプロジェクト全体を整理し、加えてIT面やクリエイティブ面でも専門性を発揮いただきました。

経営企画部 経営企画担当部長 /飛松様


中﨑:ALTNA設立当初は少人数でのスタートだったため、経営基盤を整えるためにIOに継続して支援を依頼しました。また、ウェブサイト制作などブランディングの支援もいただきました。ALTNAの背景やビジョンをしっかり理解してもらっていたので、プロセスはスムーズに進みました。

小丸:事業面の話だと、立ち上げ当初は、リース事業と蓄電事業という異なる事業領域を統合して具現化することが課題でした。当社の事業は長期的にバッテリーを資産として管理する必要があり、その流れを明確にすることが重要ですが、IOはその意図を理解し、迅速に事業コンセプトや経営基盤となるシステムを構築してくれました。短期間で具現化の見通しを示してくれたことが大変ありがたかったです。

BESS事業部 事業企画部長 /小丸様


―――ありがとうございます。もう少し具体的にプロジェクトの内容を振り返りたいのですが、IO側として支援する中で意識していたことはありますか。

IO津島:PMO側として大切にしていたことは、先ほど小丸さんがおっしゃっていたとおり、プロジェクト全体の見える化を図り、各事業の連携を促進することです。HondaとMCが共同で推進している中、進行状況や未解決の課題を迅速にキャッチアップし、支援領域を明確化するとういことが重要だったと思います。また、新会社の立ち上げというのはHonda/MC/IOのプロジェクトチーム全体として数多く経験があるわけではないので、IO内部を含めMCグループ・Hondaグループから知見を集約して活かすのかというのは意識的に行っていました。

IO稲葉:IT面ではスマートフォンやPCの選定、会計システムや電子契約システムの導入を行い、親会社とのセキュリティ基準に準拠する形で対応しました。IOとしてALTNAの要件を取り入れつつ、経営基盤を整えることを意識しました。

飛松: Honda側とMC側の求める要件の違いを専門的な視点で整理し、条件を明確にしてくれたことは印象深いですね。

IO津島:導入システムの選定はかなり細かくやりましたよね。

飛松:そうですね。今でも立ち戻って、あの時の資料を見返すことがあります。

IO津島: ALTNAの立ち上げ前の準備段階から、経営基盤やコーポレート基盤をしっかりと整えることが必要でした。その中で「情報セキュリティ」が大きな課題として浮上しました。情報セキュリティは、単に規則を設定するだけでなく、どのように文書化し、実行可能なルールにするのかがポイントでした。IOとして具体的に行ったことは、情報に関連するドキュメントの作成から始まり、その文言の調整や、ルールの細部を決めるという作業です。これにはHondaグループとMCグループの両社が求めるレベルを満たす必要がありました。その両社の基準を満たしつつも、ALTNAが独自のスピード感や柔軟性を持って経営できるように調整できたと考えています。


―――事業オペレーションの構築支援についてもお話をお聞きしたいです。

IO稲葉:オペレーション支援は長期にわたり行ってきました。今年の2月頃は、パートナー企業(ホンダセールスオペレーションジャパン様・三菱オートリース様)間の業務フローとALTNA社内のフローを整備しました。パートナー企業の既存オペレーションをベースに、どう組織全体を巻き込んで新たな仕組みを構築するかという点が難しかったです。会計やセキュリティの制約がある中で、社内システムの選定と業務フローの整備を同時に進める必要がありました。導入するシステムが全ての要件を満たすことはなく、またリース事業に特化したシステムでもなかったため、多くの制約がありました。これらの条件をどう乗り越えてオペレーションを構築していくのかが、プロジェクト最大の山場だったと思います。関係者と議論を重ね、複雑なポイントをどう簡略化するのかを常に考えながら支援を進めていきました。

鳥取:事業オペレーションは ALTNAの取引関係者に大きく影響を及ぼすものであるため、構築にあたっては、それら関係者に受け入れ可能な形で展開する必要がありました。その際の大きな課題は、既存のシステムやオペレーションを持つパートナー企業に、新しい取り組みをどのように導入してもらうのかでした。そこで、私たちは一方的に要望を押し付けるのではなく、パートナー企業の立場や業務フローを深く理解し、その上で受け入れやすい提案を一緒に作り上げていくことを心がけました。
業務フローを作る際には多くの論点を考慮する必要があります。例えば会計や監査、資産管理といった視点も含め、単なるオペレーションの構築以上の包括的な視点で支援いただきました。IOはその分野についても知見を持ち合わせており、大変ありがたかったです。
例えるのであれば、長いマラソンのような事業検討において、道に迷い込んだ時や疲弊して歩みが止まってきた時に、IOは背中を押してくれる存在でした。我々が目指すゴールに向かうために細やかな支援を提供していただいたおかげで、プロジェクトが順調に進んでいったと感じています。

バッテリーリース部 事業企画担当部長/鳥取様

―――最後に、今後の展望について教えてください。

IO稲葉: ALTNAが自らオペレーションを改善し、日々の業務を回せるようになることが重要です。IOとしてはこれまでの知見をお渡しすることを意識しつつ、引き続きご支援させていただきたいと考えています。

中崎:異業種でジョイントベンチャーを立ち上げるというのは、大きな挑戦です。タイミングも重要で、間延びしてしまうこともあります。そんな中で、当事者だけで話を進めると行き詰まることが多いのですが、今回IOの支援では良い点が3つあったと思います。1つ目は、伴走や並走という言葉が示すように、一緒に対等な立場で物事を考えることができたこと。これは依頼側にとっても期待はするものの、実行では難しい点だと思いますし、クイックに信頼関係を築けたことも一因かと思います。2つ目は、柔軟性と臨機応変な対応。3つ目は、ビジネスを組み立てるためのネットワークの活用です。情報を集め、分類し、落とし込む過程で我々自身の知識も増えました。MCの持たれているネットワーク含め、IOの支援は非常に心強かったです。残りの期間も、これらを活かした支援を期待しております。ありがとうございました。


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