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日本の食を未来へつなげ!(TRY ANGLE EHIME)

小売・流通
サービス

私たちが当たり前に食材を購入できる日常の裏には、多くの課題が存在します。生産者と需要者の間で円滑に連携が取れないことにより、本来市場に供給されるべき農作物が廃棄されている現実をご存じでしょうか。今回は農業界に課題意識を持ち、2023年9月から「生産者・需要者 情報連携サービス開発」に向けて、当社プロジェクトを担当している大山賀世さんに話を聞きました。

なお2024年3月までの活動は、愛媛県デジタル実装プロジェクト「TRY ANGLE EHIME」に採択され、愛媛県の協力のもと推進しています。TRY ANGLE EHIME公式HP:https://dx-ehime.jp/

本プロジェクトに関する詳細は、TRY ANGLE EHIME公式noteもご覧ください。
青果流通の未来を変える!現場と作る情報連携サービスの開発【株式会社インダストリー・ワン|事業紹介・実装報告】|TRY ANGLE EHIME(トライアングル エヒメ) (note.com)

<大山さんプロフィール>

Transformation事業部 大山賀世


新卒で大手ITベンダへ入社。食農領域の新規事業開発に従事した後、インダストリー・ワンへ入社。本プロジェクトでは、プロジェクトリーダーとして生産者や需要者との関係構築からサービス企画までを推進。好きな野菜:パプリカ、トマト、芽キャベツ


ーーー農業界に関心を持つようになったきっかけは何ですか?

 

祖父母が兼業農家として野菜を栽培しており、幼少期から食べることが好きでした。(笑)それがきっかけで大学では農学部へ進学し、農業の産業課題に関心を抱くようになりました。前職でも農業生産者の方とお付き合いがあり、直接会話をする中で販売面の課題があることを知りました。その経験から、農業生産者の役に立つようなサービスを作りたいと考えていたところ、生産者の方からこの取り組みを実現するために、愛媛県と協力してやってみないかというお話をいただき、トライアングルエヒメに応募しました。

 

ーーー農業生産者の方とのコミュニケーションからサービス構想が生まれたのですね。

 

はい、実際に多くの生産者の方とディスカッションを重ねる中で、生産者と需要者の連携不足による課題が明らかになりました。農業の形態が大規模化する中で、農業生産者の方は自らスーパーなどの販売店に営業をかけています。しかし、一般企業と比較すると経営規模はかなり小さく、営業活動に十分な人材やリソースを割くことができません。また、営業活動は手探りでのインターネット検索や電話での営業が主流であり、これらの方法では需要者とのつながりを確立するのが非常に難しいです。その結果、年間20~30%の作物が廃棄されたり、通常の1/6程度の価格という利益にならない形で販売せざるを得ない状況にあります。生産者側が需要者と繋がることができないと悩んでいる一方で、買い手である需要者側も産地がどこなのかわからない、産地と繋がることができないという問題があります。フードロスを無くし、農業従事者の方が正当に対価をもらえるような仕組みづくりを進めるためには、生産者と需要者の連携をスムーズにすることが必要です。そこで今回「生産者・需要者情報連携サービス開発」をプロジェクトテーマとして設定しました。

農業生産者の方とのディスカッションの様子

ーーープロジェクトを進める中で大変だったことはありますか?

 

一番大変だったのはニーズ調査やサービスの具体化に向けて協力者を見つけることでした。前職のつながりや、愛媛県内の企業様にもご協力いただいたのですが、サービスが完成していない段階で生産者の方の協力を得るのは難しかったです。生産者側からすると需要者が一方的に情報提供を要求しているように捉えられしまうことが多く、賛同を得るのに苦労しました。しかし、横浜を拠点とする需要者(仲卸) の方が愛媛県まで足を運んでくださったことで、需要者と生産者の双方のメリットを議論する場を設けることができました。これにより、生産者と需要者の両者が共通の目標に向かって協力する意識が高まり、結果として本当に必要とされるサービスの仮説を立てられたことは大きな成果となりました。

 

ーーー大山さんが熱い想いを持っていたからこそ、多くの方にご賛同いただけたのかなと感じます。

 

くじけそうになったけど…(笑)あとはプロジェクトが行き詰ったときに、社内のメンバーが声をかけてくれて。一緒にやろうよと言葉を発してくれことはすごく支えになりました。

ーーー2024年度はシステム開発や仮説検証など、さらに重要なフェーズに突入しますね。これからの展望について教えてください。

開発したシステムを通じて、生産者の方の売り上げを増やす実績を作っていきたいです。可能であれば、その先に生産者の方が新たな作物の栽培や農業規模の拡大に挑戦できるような環境が生まれるといいですね。魅力的な食材は日本に数多く存在します。それがしっかりと次の世代に受け継がれて、この先も食を楽しめる社会を持続できればと考えています。

 

ーーーご自身が実現したいことに対して、行動に移されているのは素敵だなと感じました。インダストリー・ワンで働く上で大切にしていることはありますか?

 

大切にしていることは、お客様のためというより“こんな社会があったらいいな”という自分の考えに基づいて行動することです。お客様のビジネスとして捉えてしまうと、一線引いてしまうというか・・・どんなプロジェクトも自分事として考え、実現したい社会のために取り組んでいるんだ!という意識が大事だと思います。あとは外部の人を巻き込んで、まずはスタートをきってみる。そこから周囲に耳を傾けて、本当に求められているものが何なのか、柔軟に必要とされることを追求していきます。

そして、楽しむことも忘れない。今の楽しみは愛媛出張で社内メンバーと一緒に鯛飯を食べることです!(笑)仲間と一緒に楽しい時間をつくることも大切にしたいです。

 


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